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TwitterシグナルとBitcoin価格の因果性

Nowcasting the Bitcoin Market with Twitter Signals (Kaminski 2014) よりGranger因果性分析の結果を要約

ソーシャルメディアと市場の関係はこれまでにも盛んに研究されてきた

感情は人の意思決定や行動様式に大きな影響を持っていると行動経済学では言われている。そんな中、Twitterのようなミニブログが人々の感情を観察するのによい実験材料になるとして注目されている。例えば、電子掲示板の書き込みと株価の値動きの関係など、ソーシャルメディアと経済的な動きを比較した研究が盛んに行われており、ソーシャルメディアの中でも感情を示す発言によって株価が上がるか下がるかを高い精度で予測できた研究も報告されている。

ミニブログにおける感情とBitcoin市場の関係を検証した例は未だ見られず、株式市場と異なり、様々な取引所で24時間取引ができるBitcoinはこの種の研究には非常に興味深い材料となっている。そこで当論文では、Bitcoin市場の指標とBitcoinに関連する感情的なTwitterのメッセージ(ツイート)との因果を分析することとした。

Twitterと複数の取引所をベースに情報を収集

データの取得方法に関しては、Twitter APIを用いて、2013/11/23から2014/3/7までの57,727ユーザーの161,200ツイートを取得した。取得条件としては、「Bitcoin」が含まれていることと次の感情的ワードが含まれていることとした:

sum_positive_tweets (131,117ツイート):  feel, happy, great, love, awesome, lucky, good

sum_negative_tweets (19,179ツイート):  sad, bad, upset, unhappy, nervous

sum_emotions (150,296ツイート):   “positive”も”negative”も両方含める

sum_hopefearworry (10,222ツイート):  hope, fear, worry

Bitcoinの市場データとして、BitStamp, Bitfinex, BTC-e, BTC Chinaを対象の取引所として、指標には始値、終値、高値、低値、取引高、スプレッド(高値と底値の差)、リターン(始値と終値の差)を算出した。ちなみに2014/3/31時点で、BitStampは最も多くの取引量がある取引所であり、ビットコイン全体の取引量の34%を占める。

Granger因果性分析

ここで、Granger因果性分析について説明する。まず、よく分析として行われている相関分析は、2つの変数A、Bがともに増加する傾向にあるか(正の相関)、逆の動きをする傾向があるか(負の相関)を調べる分析である。A、Bに相関が見られたとした場合、Aが原因でBが変化したのか、Bが原因でAが変化したのか、または、それとは異なる外部の変数CがA、Bに影響を及ぼした可能性もある。そのため、たとえ有意な相関が見られても、相関分析では変数間の因果関係については言うことができない。そこで、相関を超える因果関係を分析する手法として、計量経済学の分野のGranger因果性分析(Granger 1969)が知られている。Granger因果性とは、ある変数Yの値を予測する時に、Y自身の過去の値だけから予測するよりも、別の変数Xの過去の値も用いて予測する方が当てはまりがよくなる時に、X→Yの因果関係があるとみなす考え方である。これを式で表すと、

となり、(1)よりも(2)の方が良いモデルであれば、X→YのGranger因果があると言える。なお、この検定には(2)の式が(3)の帰無仮説を棄却するかをF検定によって検証する。本研究では感情的ツイートとBitcoin価格指標のGranger因果性を3日までのラグ(上の式におけるp)について、検定を行なった。その検定結果を次の表に示す。

表 感情的ツイートとビットコイン価格指標のGranger因果分析における検定結果(P値)

表はF検定によるP値を示しており、.05未満なら有意に因果があると言える。カッコありの数値は感情的ツイート→価格指標、カッコなしの数値は価格指標→感情的ツイートの方向の因果性の検定結果である。結果としては、感情的ツイート→価格指標の因果性は確認できなかった。しかし、24~72時間内の取引高→不確実的ツイート(sum_hopefearworry)の因果性について統計的に有意であり、大きい取引高によって不確実なツイートがより多くされることが示された。つまり、取引高が高まるほど、より多くの人々が希望的観測や恐怖、心配といった感情を表すツイートを発信すると言える。有意な因果性が見られた取引高と不確実的ツイートに関しては次の図に示している。

図 BitStampにおける取引高(青)および不確実的ツイート数(紫)

引用元の論文では他にも、感情的ツイートと価格指標との相関分析も行っており、詳しくは引用元を参照されたい。

投稿者プロフィール

Baroque Street 編集部
Baroque Street 編集部
暗号通貨のシンクタンク。
アジア、ヨーロッパを中心に各種関連企業にヒアリングを行い、各国の法規制やトークンの設計、取引所の運営等を調査している。