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INET評価モデル

Chris Burniskeが提唱するCrypto assetに対する評価法

(https://medium.com/@cburniske/cryptoasset-valuations-ac83479ffca7)を紹介する。

全体の構造

本評価法では、まずフィッシャーの交換方程式(MV=PQ)のモデルの変数それぞれを以下のように読み替える:

M:トークン資産価値(マネタリーベース)

V:流通速度(トークンの所有者が変わる頻度)

P:提供されるサービスの価格(費用)

Q:提供されるサービスの量

この式を変形した、M=PQ/V  を求めることでトークン全体の価値を算出し、市場に出回る浮動トークンの供給量で除することで、1トークンあたりの「利用価値」を算出する。

将来的なサービスの普及やトークン供給量を推定することで、ある時点の利用価値を算出することができる。将来価値を現在に換算するために、金融商品の利回りで利用価値を割り引くことで、将来の利用価値としてトークンの現在価値が算出されるモデルとなっている。

以下、著者が例として示しているVPNサービスを行う仮想のトークンに置き換えた場合に、どのように算出されるか、その詳細を示していく。

交換方程式(Equation of Exchange)モデル

トークン全体の価値を算定するために、式(1)の交換方程式を考える:

トークン全体の価値 = サービスが生み出す価値(2) ÷ 流通速度 … (1)

サービスが生み出す価値はPQによって表され、暗号通貨全体で考えると暗号通貨ネットワークのGDPとして考えることができる。流通速度については、ロックアップや保持を続けるホルダーを除いた浮動トークンが所有者を変える頻度を表している。

著者は流通速度については、ビットコインの全体の流通速度(≒6.5)を参考にした値を利用しているが、サービスが生み出す価値については、更に細かい設定を設けている。以下の式(2)のサービスが生み出す価値については、市場の総需要であるTAM(Total Addressable Market)を考える形式となっている。これを導くためにサービスの価格(または費用)と量の算出を行う必要がある。

サービスが生み出す価値 = サービスの費用(3) サービスの量(4) … (2)

サービスの費用 = 現在の帯域幅あたりの費用 ÷ 減少率 … (3)

サービスの量 =  利用可能IPトラフィック量 普及率 … (4)

式(3)のサービスの費用は、現在の帯域幅あたりの費用から年々減少していくことを考慮して算出を行なっている(例では年16%の減少を仮定)。式(4)のサービスの量は、サービスが利用可能なIPトラフィック量とサービスの普及率を掛けることで、利用トラフィック量を算出している。年成長率から全体のIPトラフィック量を算出し、更にサービスが利用可能な割合を仮定して、利用可能IPトラフィック量を推定する。普及率には、S字カーブによる曲線式(例ではロジスティック曲線)を利用し、基準年からの増加量を普及率とする。また、曲線の形を決定するために、最大普及率、最大普及率の10%から90%に増加するまでの期間などを仮定している。

図 普及率の推定のためのロジスティック曲線とパラメータ

浮動トークン(Token in Float)流通量

上で算出したトークン全体の価値を、流通トークンあたりの価値に換算するために、浮動トークンを考える。ここで「浮動トークン」とは、「浮動株」のように、市場で流通し、常に売買されているトークンのことを示す。まず、トークンセールや運営などが得るトークンの年間発行量を式(5)から算出する。

トークン発行量

= プライベートセール + パブリックセール + 財団リリース + 運営ロックアップ解除 … (5)

貸付によって固定されているトークン量を発行量から差し引くことで、浮動トークンの供給量の算出を行なっている。さらに、トークンを売らずに個人的に長期間保持し続けるホルダーの影響を差し引くことで、浮動トークン流通量を算出している。また、このモデルではホルダーが年々減少することを想定しており、ホルダーの減少に伴うトークンの放出が表現されている。

割引現在価値

現在の価値は、投資によって将来的受け取る価値を増やすことができるという考えから、現在の価値とと将来の価値を比較するために、割引現在価値がよく用いられる。ここではトークンの保持期間として、10年後の1トークンあたりの価値を、上記の方法で算出した後に、割引率でこれを10年分除することで割引現在価値を算出している。

最後に、以上の方法で算出した割引現在価値は、式(6)のように現在利用価値と将来的に期待される利用価値に分解することができるとし、現在における流通トークンあたりの価値が現在利用価値、割引現在価値から現在利用価値を差し引いたものが将来的に期待される利用価値に相当することを示している。

割引現在価値 = 現在利用価値 + 将来的に期待される利用価値 … (6)

 

考察に関しては弊社レポートを参照のこと。

 

投稿者プロフィール

Baroque Street 編集部
Baroque Street 編集部
暗号通貨のシンクタンク。
アジア、ヨーロッパを中心に各種関連企業にヒアリングを行い、各国の法規制やトークンの設計、取引所の運営等を調査している。