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London BIS Show

2018年6月6日-7日の2日間に渡り、イギリス(ロンドン)で開催された”Blockchain International Show(BIS)”にMediaPartnerとして参加してきたため、その様子をレポートする。本カンファレンスは国際イベント運営会社Smile-Expoが主催となり欧州を中心に世界各国で開催されている。今回は30名の登壇者がそれぞれテーマを持ち寄り、仮想通貨・ブロックチェーンを取り巻く現状、未来について議論がされた。メイン会場の外では欧州を中心に活動する28プロジェクトによる展示ブースが開かれ会場を賑わせた。以下では、弊社がカンファレンス参加を通じて感じた世界における「4つの流行」について、講演内容を一部抜粋しながら紹介したい。

カンファレンスの流行

インターネット上で「Cryptocurrency Blockchain Conference」などと検索すると、仮想通貨・ブロックチェーン分野において数多くのカンファレンスが世界各国で開かれていることがわかる。直近で言えば、米国で開催された「Consensus2018」が記憶に新しいだろう。なぜこれほどまでにカンファレンスが開かれているのか。また、チケット代が1枚10万円を超えるものも多い中、なぜ多くの来場者が会場に足を運ぶのか。確かに、IoTやAIなどフィンテック領域では今尚多くのカンファレンスが世界各地で開かれており、仮想通貨・ブロックチェーンもまたその類に当たるのかもしれない。しかし、この世界においてカンファレンスが流行している理由は別にあるように思う。「プロモーションの連鎖」とでも言えば良いだろうか、主催者、登壇者、来場者の利害関係が完全に一致しているのである。

主催者:登壇者、来場者を増やし利益を得たい。

登壇者:自身のプロジェクトをPRして(間接的に)利益を得たい。

来場者:報告記事あるいは報告会によって(間接的に)利益を得たい、または新たな投資先を見つけ(将来的に)利益を得たい。

どの業界のカンファレンスについてもこのような利害関係は言えることであるが、仮想通貨・ブロックチェーンとはどうも相性が良すぎる。その他フィンテック領域と異なり投資的側面を含むこともその要因だろう。その為、今ある仮想通貨・ブロックチェーンカンファレンスは講演内容が議論というよりPR寄りであるものも多い。

証券型トークンの流行

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Image credit: Baroque Street

今回BISの講演内容で多く取り上げられたテーマの一つに証券型トークン(Security Token)が挙げられる。何かしらの資産の裏付けがあり、保有高に応じて配当等が割り当てられる通常の証券をイメージしていただければ分かりやすいだろう。世界的なトレンドとして「今ある証券市場に似た証券型トークン市場が近い将来できるだろう」と主張する人は多い。今回のカンファレンスにおいてもICOコンサル会社SICOSのCEO:Arnab Naskar氏や投資会社CoinsiliumのCEO:Eddy Travia氏といった複数の登壇者から証券型トークンに関する議論がされた。国内においても、AliPayの木村新司氏をはじめ界隈では同様の主張をする人も多い。この主張の正否はさておき、興味深いのは事業投資の目線を持った人たちが同じ未来を見ているということである。仮想通貨の証券性については今年に入って米国証券取引委員会(SEC)を中心に多くの議論がされてきた。規制を回避しようとトークンをUtilityToken(ここでは証券性の無いサービス内通貨という認識)設計にするプロジェクトも増える中、証券型トークン市場の形成には課題も多いが、米国の動向次第によっては一気に証券市場としての仮想通貨市場の形成が進むかもしれない。

プライベートセールの流行

イニシャル・コイン・オファリング(ICO:トークン発行による資金調達)にはプライベートセールとクラウドセールがある。一般に言う、私募と公募と位置付けに大きな違いはない。今あるICOプロジェクトのほとんどはクラウドセール(あるいはプライベートセールと両方)によって資金調達を行なっている。しかし、「将来的にはプライベートセールが主流になるだろう」との主張もまた世界的な議論のトレンドと言える。登壇したクリエイティブコンサル会社Haexagon concepts LtdのCEO:Juergen Hoebarth氏や投資コンサル会社Blockchain ReserveのCEO:James Roy Poulter氏の話によれば、ベンチャーキャピタル(VC)のICO参加が次第に増えていると言う。今やスタートアップ企業の資金調達手段として当たり前となっているVCであるが、ICOが登場して間も無くはそのほとんどが不透明感からICOを敬遠していた。しかし、今では多くのVCが投資先として有望なICOプロジェクトを探している。実際に筆者が面談したICOプロジェクトの中にはVCへのプライベートセールによって資金調達したという関係者も多い。ICO投資企業といった新たなプレイヤーの登場もまたVCのICO参加を促していると思われるが、今後規制や管理コストの観点からもプライベートセールによる調達割合が増える可能性は十分に考えられる。

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オランダ政府ブロックチェーンチームの責任者 Marloes Pomp 氏 Image credit: Baroque Street

金融領域外でのブロックチェーン技術の流行

昨年以降ICOの数が激増したことを受けて、特に金融分野においては国際資金決済、店舗決済、レンディング等似通った事業内容のプロジェクトが乱立している。限られたコミュニティ内での運用を目指すならばまだしも、その多くは世界規模での運用を構想に掲げており、取引所についても言えることだが、今後競争による自然淘汰が進んで行くだろう。今年に入って金融領域外でのブロックチェーン技術の応用を目指すICOが増えている。今回のカンファレンスにおいても人材マッチングへの応用を目指すHidoneや芸術作品の保有権利への応用を目指すArtnoy、ゲーム領域への応用を目指すGameprotocol等多くの特徴的なICOプロジェクトが多く見られた。また、登壇者であるオランダ政府ブロックチェーンチーム長のMarloes Pomp氏の講演では、廃棄物運搬処理や妊婦の健康管理、寄付金といった様々な分野へのブロックチェーン技術の応用を政府とICOプロジェクトが一体となって検討しているとの話もあり、今後世界各国でブロックチェーン技術をどの業界・分野で応用できるかといった実用化を目指した議論が進んでいくと思われる。Marloes氏が最後に語っていたが、真に実用化できるかどうかは次の段階の議論であり、まずは国・政府としてどういった技術的な応用が可能かを学ぶ段階にある。日本はこの業界における官民連携が欧州各国に比べ足りないように思う。

 

投稿者プロフィール

Baroque Street 編集部
Baroque Street 編集部
暗号通貨のシンクタンク。
アジア、ヨーロッパを中心に各種関連企業にヒアリングを行い、各国の法規制やトークンの設計、取引所の運営等を調査している。