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Blockchain Centre Vilnius

7月2日、バルト三国リトアニアの首都ヴィルニュスにある仮想通貨・ブロックチェーンに特化した技術センター「Blockchain Centre Vilnius(以下:BC Vilnius)」を訪れた。本施設は技術センターと謳っているが実態はコワーキングスペースであり、前回寄稿したスイスのCrypto Valley Labsと同様、リトアニアの仮想通貨・ブロックチェーン業界におけるエコシステムの中心的役割を果たそうとしている。以下では、BC Vilniusとの面談内容を中心に、一部他社の発言も交えてリトアニアの仮想通貨・ブロックチェーン事情について考察する。

Blockchain Centre Vilniusが掲げる3つのビジョン

仮想通貨・ブロックチェーン教育

第一に、彼らが力を入れているのはユーザーの教育である。この業界ではユーザーリテラシーの低さそして格差が時に問題視される。リテラシー分布として、ビットコインの基本的な仕組みすら理解していない人が依然大半を占める中で、業界に詳しく影響力を持ったアーリー層(早い段階からこの業界に携わってきた人たち)が一定数存在し、中間層が最も少ない状態が続いている。BC Vilniusはマス層の底上げを図ろうと毎週水曜日に無料で勉強会を開催している。また、月に1. 2回ゲストスピーカーを招致して少し上級者向けの有料イベントを開催、そして年に数回業界人を集めたクローズドのネットワーキングイベントを開催している。

Blockchain Centre Vilnius
勉強会などのイベントが行われているスペース

BC VilniusのCommunications Managerを務めるIan Kane氏は、本施設でのイベント開催について次のように述べた。

“参加者によってリテラシーのレベルが違う為、内容を分けて考えなければならない。ユーザーリテラシーの底上げは仮想通貨・ブロックチェーン普及の為にも必要であり、我々もそれに貢献したい。”

スタートアップ育成

第二に、彼らが力を入れているのは業界内におけるスタートアップの育成である。そのサポート体制として特筆すべき点はメンター制度である。メンターとは、名前の通り施設会員の指導的役割を担う立場を指し、審査は必要であるが誰でもHP上から応募してなることができる。この制度の狙いは海外から様々な専門性を持った人材を本施設に招き入れることにあるが、今いるメンターもリトアニア国内に限らずドイツ、香港、オーストラリア等海外で活躍する人が含まれ、そのバックグラウンドも起業家、技術者、法律家等様々である。今後メンターが増えていけば施設会員へのサポート体制も充実し、集合知としてBC Vilniusが業界内で果たす役割も大きくなるだろう。

Blockchain Centre Vilnius
壁にはBitcoinの論文が1ページずつ飾られていた
コミュニティ形成

最後に、彼らが力を入れているのはコミュニティ形成である。施設会員そしてBC Vilniusの提携先を増やすことでネットワークを拡大し、欧州における仮想通貨・ブロックチェーンの中心地になることを目指している。現在の施設会員数は8社と少ないが、今ある席は既に満席。その内訳は国内外・業種と様々で、中には日本で知名度の高いNEMも含まれている。施設拡大の予定はあるが時期は決まっておらず、現在は南米コロンビアでの新たな施設設立を検討している。リトアニアはMonethaやBankera等これまでも多くのICOプロジェクトを輩出してきた。BC Vilniusを中心に政府や金融機関とも連携し、これらの一体感をどのように生み出すかが今後の業界発展の為重要となるだろう。

Blockchain Centre Vilnius
施設内には複数のチームが入居し、サービスの開発を進めている

仮想通貨・ブロックチェーンを通じ第二のエストニアへ

日本ではエストニアばかりに注目が集まっているが、密かにリトアニアは仮想通貨・ブロックチェーン業界を育んでいる。彼らは仮想通貨・ブロックチェーンを国としてのチャンスと捉えている。エストニアがかつてSkypeやTransferwiseといった世界的企業を輩出し名を上げたように、リトアニアもこの業界を通じて世界的企業を輩出したいと考えている。リトアニアはエストニアと同様小国である為政府と事業者との距離も近く、先月政府がICOガイドラインを発表したように国としての後押しも見られる。今回のガイドライン策定により事業者の従うべきルールが明確化された為、リトアニアに移動する起業家・企業が増えるとの見方も強い。現に私がスイスで出会った起業家もリトアニアでの登記を準備しており、今後業界としてさらなる発展が期待される。

MonethaのCEOを務めるJustas Pikelis氏はリトアニアの現状について次のように述べた。

“リトアニアはICO調達額を見ても世界的に上位にある。その一因として、優秀な人材(なかでも技術者)を他国に比べて安価に雇うことができ、運営コストが低いという点が挙げられるだろう。エストニアのようなスタートアップのエコシステムは根付いていないが、この業界で世界に通用する企業を生み出したいと多くの人が思っている。”

 

投稿者プロフィール

Baroque Street 編集部
Baroque Street 編集部
暗号通貨のシンクタンク。
アジア、ヨーロッパを中心に各種関連企業にヒアリングを行い、各国の法規制やトークンの設計、取引所の運営等を調査している。